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zoom RSS フィールド:ノクターン 第1番 変ホ長調 H.24

<<   作成日時 : 2012/09/23 15:15   >>

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♪今日の試聴BGM♪

フィールド作曲:ノクターン 第1番 変ホ長調 H.24 by Tomoro




John Field : Nocturne No.1 in E flat major H.24/Tomoro
● 作曲年:1812年
● 出版年:1812年
● 献呈者:なし


 【ジャンル解説】
ノクターン(Nocturne)と言うのは英語ですが、同じ綴りのフランス語「ノクチュルヌ=夜の」を語源とし(※もっと遡るとラテン語の「Nox=夜」に行き着くのだそうです)、音楽的な意味合いとしては、イタリア語の「セレナータ」や、あるいはドイツ語の「セレナーデ、ナハト・ムジーク」と同じ流れを汲むもので、元々は、親しい人や称賛すべき人のために、夕方や夜に野外で演奏される音楽の事です。
日本語では「夜想曲」と訳されています。
現在では、恋人のために歌う音楽と言うイメージが強いかもしれません。
これを最初にピアノ曲にして「ノクターン」と名付けたのは、アイルランドの作曲家兼ピアニストのジョン・フィールド(John Field 1782−1837)でした。
ショパンは、このフィールドの作品から直接影響を受け、自らもノクターンを作曲するようになりました。
現在では、「ノクターン」と言えばショパンの代名詞的な音楽ジャンルとも言えるでしょう。


 【作品解説】
今回は、そのノクターンの本家本元であるフィールドの《第1番》を取り上げてみました。
ショパンのノクターンについて語る時、必ずフィールドの名が挙げられるにも関わらず、実際にその作品を耳にする機会は非常に稀です。
かく言う私も、特にクラシック音楽を専門に勉強した訳ではありませんので、ショパンを通じてでなかったら、フィールドの作品を聴いてみようと思うどころか、それ以前におそらくその名前すら知らなかった事でしょう。

ショパンは勿論の事、リストを始めとする同時代の音楽家達は、多かれ少なかれ皆フィールドの影響を受けており、フィールドはロマン派の先駆的役割を果たした音楽家の一人と位置付けられています。

フィールドの経歴を見てみると、祖父はオルガン奏者で父はヴァイオン奏者と言う音楽一家に生まれ、祖父から音楽を学び、ピアノは父親に習ったとされています。
ここで興味深いのは、彼はピアノの専門家に師事していた訳でもないのに、9歳の頃には既にピアニストとして世に出ていたと言うのです。

この辺はショパンと共通するものがありますね。
ショパンは音楽家の家系ではありませんが、フランス語教師の父が経営する寄宿学校で、貴族や士族の子息達にピアノの嗜みを身につけさようと、そのために雇っていたピアノ教師ジヴニーがやはりヴァイオリンを専門とする人物でした。

流れるように歌うノクターンの旋律線はどこかヴァイオリンを連想させるものがありますから、きっとヴァイオリンを専門とするピアノ教師と言うのは、ピアノ演奏においてもヴァイオリン的なニュアンスで歌わせるように指導するでしょうから、おそらくそんな感覚がフィールドにノクターンを発想させ、ショパンもまたそれに強く共感していたのではないでしょうか。

また、ノクターンの旋律をより良く歌わせるのには、音と音を滑らかにつなぐレガート奏法が不可欠ですが、オルガンを学ぶ事はその事に非常に役立ったとも思われ、フィールドの祖父がオルガン奏者だった事もまた、彼の音楽にとってかなりプラスに働いた要因だったのではないでしょうか。

ショパンもまた、少年期の頃にオルガンを学んでいた事があり、教会でオルガン奏者を勤めていた事もありました。
それについては、当時の唯一無二の親友ヤン・ビアウォブウォツキに宛てた手紙で、以下のように書いています(※当時16歳)。

「高等中学校のオルガン奏者になったよ。だから、(※将来の)僕の妻と子供達は全員、二つの理由から僕に敬意を払わねばなるまい。ハッ、慈悲深き神よ、僕は何という地位に就いたものやら! 教会の神父に続いて、僕は高等中学校の第一人者だ。
週に一度、日曜日に、ヴィジットゥキ尼僧教会のオルガンを僕が弾き、その他のみんなが歌うんだ。」
(※『1825年11月ヤン・ビアウォブウォツキ宛の手紙』より→全文はこちら



フィールドの《ノクターン 第1番》に見られるように、分散和音の上に美しいメロディが流れるように歌われると言うスタイルが、まさにフィールドの創始したノクターンの基本形とも言えるものです。
パリ時代にショパンに師事していたレンツは、次のように証言しています。

「フィールドの最初のノクターン(変ホ長調、1812年)は、ハーモニーもリズムも単調なのになんとなく魅力があって、現代のノクターンの元祖とも言うべきものである。ショパン自身も度々わたしたちにそのように言っていた」
(※ジャン=ジャック・エーゲルディンゲル著/米谷治郎 中島弘二訳『弟子から見たショパン』(音楽之友社)より)


ただ、ショパンのノクターンのほとんどが明確な三部形式をとっているのに対して、フィールドの場合は比較的自由な感覚でメロディを紡いでいくようなスタイルをとっている事が多く、そのため、やや音楽構成上のメリハリに欠ける嫌いもあり、せっかくいいメロディがあっても、曲を聴き終えた後にそれが耳に残りにくく、ひたすら美しい夜の雰囲気だけが通り過ぎて行く…と言った印象を受けなくもありません。

ただ、それはショパンのノクターンとの比較において初めてそう言えるだけであって、そもそもフィールドは最初から“ノクターン”をそう言う音楽として書いていたと言う事なんですね。
そう言う意味では、フィールドのノクターンの考え方は、サロンのためのバック・グラウンド・ミュージックのようなものだったと言えるのかも知れません。

ちなみに私は、謎とされているショパンの生年月日に関しては、「1809年3月1日」説を採っております(※その根拠はこちらで)。
なので、本稿ではそれに則ってショパンの年齢を数えています。


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