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zoom RSS ショパン:歌曲『使者』作品74-7 遺作(2台ピアノ版)

<<   作成日時 : 2012/06/21 19:58   >>

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♪今日の試聴BGM♪

ショパン作曲:歌曲《使者》 作品74-7 遺作(2台ピアノ版) by Tomoro




Chopin : Song"Poseł (The Messenger)" Op.74-7 /Tomoro

● 作曲年:1830年
● 出版年:1859年
● 献呈者:なし


 【ジャンル解説】
一般にはほとんど知られていませんが、ショパンは生涯にわたって20曲もの歌曲を残しています。
その全てが祖国ポーランドの詩人の作品に曲を付けたもので、制作された理由は様々ですが、出版を前提にしたものは一つもなく、全てがプライベートの目的で書かれました。
したがって、これらは全て作曲者の死後に出版されています。

無伴奏で書かれたもの(※歌曲《マズル・どんな花》)が一つある以外は、いずれもショパン自身によるピアノ伴奏が付いています。
本稿では独自に、そのピアノ伴奏をそのままセカンド・ピアノ(※ステレオ左寄り)とし、メロディ・パートを1オクターブ上げてファースト・ピアノ(※ステレオ右寄り)に置き換え、2台ピアノ版としてお送りいたします。


 【作品解説】
歌曲《使者》は、作品74として最初にまとめられた16曲(後にもう1曲追加)のうちの第7曲目です。
これらは、ショパンの友人で音楽家でもあったフォンタナによって、一連の遺作集に引き続いて出版されました。
その際にフォンタナが付けた作品番号は、特に作曲順に並べられたものではありません。

この詩の作者はステファン・ヴィトフィツキ(Stefan Witwicki 1801−1847)で、ショパンは彼の詩から最も多くを作曲しており、現在10曲が知られています(※ただし、パリ時代にはその他にも数曲書いていたとも言われています)。

この曲の歌詞は以下の通りです。


  『使者』 ステファン・ヴィトフィツキ作(1830年出版)

 草が育ち、
 寒い日々が過ぎて行くと、
 お前が、忠実なツバメが、
 また我が家の玄関の前に。

 お前は陽を長くし、
 お前となら素敵な春;
 旅先からようこそ、
 楽しく歌っておくれ。

 飛び去らないで、待って、一言!
 穀物が欲しいのかい?
 新しい歌を
 見知らぬ土地から持って来てくれたのかい?

 お前は辺りを見ながら、飛び廻る、
 黒い目で…
 そんなに楽しそうに眺めないで、
 彼女はいない、ここにはいないよ!

 彼女は兵士の後を追って行ってしまった、
 この小屋を捨てて、
 この十字架の下で
 母親にさよならして。

 お前は彼女のところから飛んで来たのかい?
 教えておくれ、
 そこで2人はお腹を空かしていないか、
 幸せに暮らしているかい?



歌曲《使者》は、これまで1831年のウィーン時代に曲が付けられたとされてきましたが、最新のナショナル・エディション(エキエル版)では、1830年(※当時ショパン21歳)のワルシャワ時代に曲が付けられたとされており、歌曲《願い》歌曲《好きな場所》に続いて3曲目に掲載されています。

この《使者》の詩も、その《願い》《好きな場所》、あるいは《酒宴》の詩と同様、ヴィトフィツキの詩集『牧歌的な詩篇(Piosnki sielskie)』に収められていたもので、ショパンはこの詩集が出版された1830年に、ヴィトフィツキからこれを贈られています。
その際、その本の内表紙には、“フレデリック・ショパンへ 彼の才能を称賛する者より 1830年8月5日”と書き添えられていました。
ですから、ショパンがこの詩に曲を付けたのが1830年のワルシャワ時代となると、その8月5日からワルシャワを発つ11月2日までの約3ヶ月の間である事になります。

この歌曲がその当時のショパンの心境とどのように関連しているのか? それを想像するのはちょっと難しいです。

ですが、私が考えるに、その頃のショパンは、再三に渡ってウィーンへの出発を延期していて、その理由と言うのが、当時のヨーロッパ情勢の混迷にあったのでした。
ショパンは友人宛の手紙にこう書いています。

「…(前略)…僕は、なぜ僕がまだここにいるのかを君に説明する機会が持てた。過去2週間の間、ドイツの至る所で起きている騒乱のために、僕が旅行する事を父が望まなかったのだ。ライン川地方は挙がってないが、サクソニーではすでに別の王が即位し、ダルムシュタット、ブラウンシュバイク、カッセル等々、僕らが聞いたところでは、ウィーンでは何千人もの人々が小麦粉について不満を言い出したそうだ。小麦粉の何が悪かったのか僕は知らないが、そこで何が起きているかは知っている。チロル地方でも同じように騒動が起きている。イタリアでも勃発しそうで、モリオールが僕に話したところでは、彼らはいつでもこの手のニュースを予想して待っているのだそうだ。僕は、まだ旅券の申請はしていないが、オーストリアとプロシア行の一枚だけは得られると人々が僕に話している。イタリアとフランスは考えても無駄で、幾人かの人が全くパスポートを拒否されたのを僕は知っている;しかし、間違いなく僕にはそんな事は起こらないだろう。僕はおそらく、数週間のうちに、クラクフ経由でウィーンヘ行くつもりで、と言うのも、そこの人達は今も鮮明に僕はを覚えてくれているし、だから僕はその事を有利に運ばなければならない。僕(の言う事)にも、僕の両親(の言う事)にも驚かないでくれたまえ;それが物語(事件)の全部なのだ。…(後略)…」
(※『1830年9月22日付のティトゥス・ヴォイチェホフスキ宛の手紙』⇒全文はこちら


つまりこの時のショパンは、刻一刻と移り変わる近隣諸国の情勢について、とにかく情報収集をし、安全を確認しない事には出発もままならない状況だった訳です。
それは正に、春を告げる「ツバメ」の到来を待ちわびる心境と同じだったのではないでしょうか?


ちなみに私は、謎とされているショパンの生年月日に関しては、「1809年3月1日」説を採っております(※その根拠はこちら)。
なので、本稿ではそれに則ってショパンの年齢を数えています。


Copyright © Tomoro. All Rights Reserved.

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