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zoom RSS ショパン:ピアノ三重奏曲 ト短調 作品8(2台ピアノ版)

<<   作成日時 : 2011/07/07 03:17   >>

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♪今日の試聴BGM♪

ショパン作曲:ピアノ三重奏曲 ト短調 作品8(2台ピアノ版)
Chopin : Piano Trio in G minor Op.8 (for two pianos)

第1楽章 アレグロ・コン・フォコ by Tomoro




I. Allegro con fuoco /Tomoro

第2楽章 スケルツォ、コン・モート、マ・ノン・トロッポ by Tomoro




II. Scherzo, Con moto, ma non troppo /Tomoro

第3楽章 アダージョ・ソステヌート by Tomoro




III. Adagio sostenuto /Tomoro

第4楽章 フィナーレ、アレグレット by Tomoro




IV. Finale, Allegretto /Tomoro

● 作曲年:1828〜1829年
● 出版年:1832年
● 献呈者:アントニ・ラジヴィウ公爵殿下



 【ジャンル解説】
ピアノ三重奏曲は、基本的にピアノ、ヴァイオリン、チェロの三重奏による、ソナタと同じ構成からなる多楽章形式の室内楽作品です。


 【作品解説】
ショパンのピアノ三重奏曲には、1台ピアノ版などの別編成バージョンは存在しませんが、本稿では独自に、これの室内楽版を2台ピアノ版としてお送りいたします。
なお、楽譜はナショナル・エディションを用い、ヴァイオリンとチェロ・パートをファースト・ピアノにしてステレオ右寄りに、従来のピアノ・パートをセカンド・ピアノにしてステレオ左寄りに配置してあります。


ショパンが残したピアノ三重奏曲は、これが唯一のものになります。
これは、1928年の初めに、ショパンがワルシャワ音楽院・作曲科の卒業作品として完成させたものと云われています。
ちなみに、ピアノの詩人と謳われるショパンは、その作品のほとんどがピアノ独奏曲で、室内楽曲はこれを含めてもたったの4曲しか書いていません。

  1. ピアノ三重奏曲 ト短調 作品8
  2. チェロとピアノのための序奏と華麗なるポロネーズ ハ長調 作品3
  3. チェロとピアノのための「悪魔のロベール」の主題による協奏的大二重奏曲 ホ長調
  4. チェロ・ソナタ ト短調 作品65

ショパンがピアノ以外に注目していた楽器がチェロだったと言うのがよく分かります。
実は、この他にもう1曲、《フルートとピアノのための「シンデレラ」の主題による変奏曲 ホ長調(遺作)》という作品があるにはあるのですが、これには贋作説があり、ポーランドの一大国家的事業として編集されたナショナル・エディションにも結局収録されませんでした(※と思っていたら、最近になって『第37巻 補遺』として出版されましたね)。
私は、この作品は明らかにショパンの曲ではないと思っていますので、本稿でも取り上げません。
私がこれを贋作と結論付ける根拠は至って簡単で、ピアノ・パートが完全に素人の手によるもので、ごく単純な伴奏形に終始しているだけで、協奏的要素も全くないからです。
また、ショパンの変奏曲には特徴的な序奏と終結部が伴われますが、この曲にはそのどちらもありません。
典拠もあいまいで、自筆譜が確認された事がないのも勿論ですが、それ以前の問題として、これがショパンの作品である事を示唆し得る音符が一つも書かれていないからです。
ショパン作品では、歌曲におけるシンプルなピアノ伴奏ですら、ここまで工夫も主張もないなどと言う事はありません。


この曲の楽章構成は、前年に書かれた《ピアノ・ソナタ 第1番 ハ短調 作品4》に準拠しています。
ただし、《ソナタ 第1番》では第2楽章にメヌエットを置いていたのに対して、ここではそれがスケルツォになっています。
それ以外は同じで、これ以降のデョパンのソナタ作品もすべてこれと同じ構成になります。
ショパンのソナタ形式の作品では、第3楽章に置かれた緩徐楽章が全体の中心をなしているため、それをより際立たせるためにも、第2楽章には、メヌエットよりも快活なスケルツォを置いた方が効果的と考えたのでしょう。
ただし、それはショパンの専売特許ではなく、既にベートーヴェンが、32曲ものピアノ・ソナタを作曲する過程で試行錯誤した中から生み出したものです。
どうやらショパンは、この楽章構成を、一つの完成された様式美と見なしていたようで、ことこれに関しては、ベートーヴェンが創始したものを踏襲し、最後までそこから一歩も出ようとはしませんでした。
たとえば、同じ時代に活躍したリストが1楽章制のソナタなどを試みているのと比べると、あらゆるジャンルで革新性を打ち出してきたショパンにしては、意外と冒険していないとも言えるのかもしれません。


ショパンはこの三重奏曲について、友人に宛てた手紙にこう書いています。
「新しい作曲については、君が出発した後に始めた未完成の三重奏曲以外には何もない。あの最初のアレグロは、サンニキに行く前に伴奏付きでやってみた;今度(※ベルリンから)帰ったら、残りの部分もやってみようと思っている。この三重奏曲は、ソナタや変奏曲と同じ成り行きになるように思われる。」
(※『1828年9月9日付ティトゥス・ヴォイチェホフスキ宛の手紙』より→全文はこちら


ここでショパンが言及している「ソナタや変奏曲と同じ成り行き」と言うのは、彼が《ピアノ・ソナタ 第1番 ハ短調 作品4》《モーツァルト「お手をどうぞ」による変奏曲 作品2》を、ウィーンの楽譜出版者ハスリンガーに楽譜を送っていた事を指しています。
それについての詳細は《ピアノ・ソナタ 第1番 ハ短調 作品4》で説明しましたが、その後ショパンは、商魂たくましいハスリンガーに不信感を抱くようになっていたため、結局ピアノ三重奏曲が完成しても、もうハスリンガーには楽譜を送りませんでした。

ショパンは、先の手紙を書いた直後ベルリンへ旅行に出掛け、生まれて初めて、外国のレベルの高いオペラを鑑賞する機会を得ます。
その旅行から帰って3ヵ月後、同じ友人に宛てた手紙にこう書いています。
「三重奏曲はまだ完成していない。」
(※『1828年12月27日付ティトゥス・ヴォイチェホフスキ宛の手紙』より→全文はこちら


結局、曲が完成するのはそれから約1年後ぐらいで、ショパンは、出来上がった楽譜を献呈者のラジヴィウ公爵に贈り、それに対して次のような手紙をもらったとされています。
「親愛なるショパン
貴君が親切にも私に献呈してくれた三重奏曲を有り難く受け取りました。貴君が早くこれを出版し、貴君がベルリンに行かれる際ポズナニに立ち寄って一緒に演奏する事ができれば、さらに喜ばしい事でしょう。親愛なるショパン、貴君の芸術が、私の音楽に対する興味と、私が貴君に抱く尊敬の念とを新たにした事を、ここにお伝えいたします。」
(※『1829年11月4日付アントニ・ラジヴィウ公爵からショパン宛の手紙』より→全文はこちら

しかしながら、私は、このラジヴィウ公爵からの手紙と言うのは、おそらく贋作だろうと考えています。なぜなら、この手紙の日付と同じ日に、そのショパンがラジヴィウ公爵の宮殿にいた事が確かな資料によって確認されているからです。今まさに自宅に招いている客人に宛て手紙を書く人がいるでしょうか?(※その詳細については『検証9-4:ラジヴィウ公爵邸にて/グワトコフスカは理想の人ではない』で)

いずれにせよ、この曲はすぐには出版されず、ショパンは翌年の夏に、友人宛の手紙に次のように書いています。
「先週の土曜日に僕の三重奏曲をやってみた。しばらく聴いてなかったせいかもしれないが、我ながら非常に満足した(幸せな奴だ!)、ただし、一つ考えが浮かんだ;ヴァイオリンをヴィオラに代えると言うものだ。ヴァイオリンは第1絃が優位を占めているが、僕の曲ではほとんど使われていないし、ヴィオラの方がもっとよくチェロと調和すると思うのだ。そうしてから印刷しよう。」
(※『1830年8月31日付ティトゥス・ヴォイチェホフスキ宛の手紙』より→全文はこちら

しかしながら、このアイディアは結局実行には移されず、それから2年後に、ようやく出版の運びとなったのでした。

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